お子さんの年齢と理解度について
サークルは一応の基準として、「5歳以上」を対象としています。
ただ、4歳なら絶対にダメです...というわけでは全く無いので、ご相談いただければと思います。
概ね5歳程度の知力があれば、ルールを把握する能力がある場合が多いということで基準としています。
しかし、これは本当にまちまちで、何とも言えないところでもあります。
「将棋脳」はちょっと特殊(かも)
将棋教室によっては、「未就学児NG」や「ルールは覚えてきてから来てください」というところもあるようです。
個人的な見解としては、これはもったいないなと思っています。
私が小さな子たちに将棋を教えてきた経験でお話をしますが、多くの場合は就学前のお子さんであっても将棋に必要なロジカルな思考が可能だと感じています。
子育て経験のある方ならばご理解いただけるかと思うのですが、4〜5歳になると、「交渉」「取引」「交換条件」というような概念を子どもなりに理解しますよね?
こうしたコミュニケーション力があれば、将棋を始める”第一歩”の力はあると言って良いのではないかと思っています。
ただ、「早熟で賢い子」ならば大丈夫...というような単純な話でも無いような気も、同時にしています。
経験上、4歳のお子さんでも、将棋の駒の区別・動かし方の特徴・「攻める」「守る」といった意味などを理解できる子も比較的高い割合でいます。
私自身も4歳のときにはもう祖父と将棋をしていました。
ただし既に述べたとおり、将棋のコンセプトの理解が速いからといって、単純に「賢い」ということとは結びつかないと思っています。
得意科目が人によって違うのと同じように、向き・不向きによるところが大きいのです。
幼稚園や小学校では暴れん坊で、席についていることも難しいというようなお子さんが、将棋盤の前に座るとウソのように熱中して考え込む姿を何例も見てきました。
そして、逆もあります。
比較的知的レベルが高いと思われるお子さんでも、将棋に求められるような駆け引きや駒の動きを通じた対話のようなものを理解するのが難しいことがあります。
ルールはすぐに覚えられたけど、その先に行けない...という状態の子も何人もいました。
要するに、年齢でフィルタリングすることはあまり適切とは思えないし、「◯◯ができるならば将棋もできる」というような基準も無いと思います。
「興味を持つ」という能力
将棋は藤井聡太先生にも決して極めることのできない、深遠な世界です。
考えようと思えば盤上を睨んで1時間でも2時間でも考え続けることができます。
「できます」と言ってしまいましたが、おそらく普通は「できません」。
答えの出ないことを考え続けるのは通常は苦痛です。
しかし、将棋に心底のめり込む人にとっては「楽しくて仕方のない時間」だったりするんですよね。
控えめに言って、変人の世界だと思います。苦笑
よく、「将棋を教えれば賢くなるか?」という質問をされます。
私の答えはいつも「わかりませんが、人生にプラスにはなると思っています」というような感じです。
脳みそは筋肉ではないので、将棋によってたくさん使っても、もちろん目に見えるような形で大きくなったりはしません。
ですが、分からないことを分からないままにしないというクセや、複雑なことでもとりあえず考えてみるというクセはつくように思います。
興味を持つ、という物事の第一歩を踏み出す力は養えるかもしれません。
(そもそも「賢い」って何?...という思いも正直言ってあります。賢くなくても難関国家資格に受かる人はいますし、たとえば楽して儲けている人は「賢い」と言えなくもないと思います。)
将棋ブームはうれしいけれど
将棋教室に通わせたい親御さんは今、たくさんいます。
将棋の裾野を広げたいと思っている自分としては、とてもうれしい傾向です。
ただ、「将棋教室=賢くなるところ」では、たぶんありません。
集中力や忍耐力、自己を俯瞰してみる力はもしかするとつくかもしれませんが、将棋の段級が上がれば学校の成績も比例して上がる、とはまったく思いません。
要は、親御さんとお子さん自身が将棋自体に魅力を感じているかどうかが大事だと思います。